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2006年10月

Star Light & Stage Struck (Stevie Silver)

"Star Light"
Orchard Books, 2006 ISBN 1-84121-782-4
124pp.
"Stage Struck"
Orchard Books, 2006 ISBN 1-84121-780-8
121pp.
by Jean Ure

 スティービーはロンドンにある演劇学校、スターライト・ステージスクールに通う女の子(年齢ははっきり明記していないけれど、13歳くらい?)。学校では演技や、歌、踊り、発声練習、メーキャップなどのほかに、普通の学校と同じようなことも勉強しています。将来の目標は☆スター☆になること! 同じ目標をめざす仲間たちとの学校生活やオーディションのこと、また、家族とのさまざまな出来事をスティービーが語ります。1巻にそれぞれ3話ずつ、計6話収録されています。

(1) スティービーたちは、クリスマスの翌日に上演されるお芝居のオーディションを受けます。オーディションには受かったものの、小柄なスティービーに割り当てられたのは、16匹いるねずみたちの1匹でした。

(2) クラスメートと一緒に、コマーシャルのオーディションを受けたスティービー。面接でディレクターに「君みたいな子を探していたんだ! 連絡するからね」と言われたのに、後日発表された合格者の中に、スティービーの名前はありませんでした。

(3) スティービーの1歳年上の兄、トーマスは獣医志望。トーマスの親友サムのお母さんがやっている、家のない猫たちの施設が経営難で閉鎖の危機にあるため、トーマスは資金集めに奔走しています。自分も何かしたいと考えたスティービーは、学校の仲間と劇を上演することを思いつきます。

(4) クラスメートのスターロッタは、おじさんがソープオペラに出ている有名な俳優であることなど、自分の自慢話ばかりしています。我慢できなくなったスティービーたちは、スターロッタにいたずらをしてやろうとします。

(5) スティービーの友人ローザの様子が最近おかしい。いつも明るく、ユーモアたっぷりのローザから、ユーモアが消え、怒りっぽくなってしまいました。心配するスティービーたちに、ローザはほっておいて!と言うだけ。

(6) スティービーはお母さんから、お父さんの事業がうまくいなかなくなり、スターライト・ステージスクールの学費が払えなくなったので、今年いっぱいで退学するよう告げられます。落ち込み、荒れるスティービーに、校長先生が奨学金の存在を教えてくれます。

 コメディエンヌの素質があり、意識しなくても人を笑わせてしまうスティービーの語り口は、ユーモアたっぷり。ライバルだけど友だち、友だちだけどライバルという友人関係は、なかなか興味深いです。お約束の「優等生だけれど、みんなの嫌われ者」も登場。そして、社会的なテーマも織り込んであります。星がちりばめられた表紙(1巻は濃いピンク、2巻は赤)はおしゃれでかわいいのですが、amazon.co.jp では見られないので残念です。(でも、Jean Ure の公式ウェブサイトで見られます。)


Land of Milk and Honey

"Land of Milk and Honey"
by William Taylor
HarperCollins Publisher, 2005 ISBN: 1-86950-519-2
160pp.

 1947年。戦争で母と祖母を失い、14歳の少年ジェイクは妹のジャニスとともにイギリスから、〈乳と蜜の流れる地〉ニュージーランドへ渡った。片脚をなくした父に、2人の面倒をみることは難しかったからである。しかし、到着してすぐにジャニスと引き離されてしまった。ジャニスがどこに連れて行かれたのか知らされないまま、ジェイクはひとり列車に乗り、ピアソン家へ向かう。ピアソン家の農場は夫人名義のため、ピアソン氏は夫人には頭が上がらない。農場で働いたことのなかったジェイクは、ピアソン一家にこき使われて疲れ果てる。重労働をしても、食事と部屋を提供していることと、未熟でまだ労力になっていないことを理由にお金をもらえず、おまけに夫人の作る食事はまずくて、量も少ない。夫妻の息子、17歳のダーシーは両親に溺愛されており、ジェイクに対して好き放題に振舞う。意に沿わぬことを無理やりさせられても、ほかに行くところもなく、お金もないため、ジェイクはひたすら耐えていた。
 ピアソン夫妻が親戚の結婚式に出席するため留守にした週末、ダーシーの友人、ゲリーが町からやってきた。両親がいないのをいいことに、ゲリーと一緒に、ダーシーはジェイクに対していつもよりもさらに残酷な仕打ちをする。身も心も傷ついたジェイクはスーツケースを持って飛び出した。町をめざして歩いているところを、車に乗った男性に拾われたが、男性は非番の警官だった。ジェイクの話し方でピアソン家の農場で働くイギリス人の少年だと気づかれ、そのままピアソン家に連れ戻されてしまう。逃げ出したことに激怒したピアソン氏とダーシーは、ジェイクの背中をベルトで激しく何度も打つ。ようやく解放されたジェイクは、背中の激痛に苦しみながら、着の身着のままで再び逃げ出した。
 半年以上前から手元にあったものの、重いテーマに向き合う勇気が出るまで時間がかかった。タイトルは旧約聖書の「出エジプト記」から。カナンの地をめざしたユダヤ人を待っていたのが決して楽な生活ではなかったように、ニュージーランドに渡ったジェイクも過酷な日々を送ることになる。ダーシーのジェイクに与えた数々の仕打ちは残酷で、描写も生々しく、思わず途中で投げ出そうかと思ったほど。それでも読み続けられたのは、冒頭、年を取ったジェイクが息子夫婦と孫と一緒に農場を訪れ、ダーシーと再会する場面があったから。今はつらい生活をしていても、そのうち……と希望を持つことができた。ラスト、ジェイクがはるばるやって来たのは、やはり〈乳と蜜の流れる地〉だったのかもしれないと感じさせる場面に、胸が熱くなった。

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