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孤独な天使たち

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 この春大学生になった知人の娘さんが、大学生になって一番よかったことは、クラスというものからようやく解放されたことだと言っていたとか。今の時代、中学生・高校生をやっていくのはなかなかハードなようです。それは日本もイタリアも変わらないのかもしれません。
 ベルナルド・ベルトルッチ約10年ぶりの監督作品、『孤独な天使たち』の主人公ロレンツォも、クラスメートにとけ込めずにいます。とはいえ、本人はさほど気にしていない様子。でも、周りと同じことができない息子に納得できない母親がやたらと干渉してきます。母親を安心させたくて……というよりは母親の干渉から解放されたくて、学校のスキー教室に参加すると嘘をつきます。行ったふりをしてこっそり戻り、アパートの地下にある半地下の物置で自由気ままな1週間を過ごすつもりでしたが、思わぬ珍客が登場します。
 荷物を探しに来た腹違いの姉オリヴィアに、ロレンツォは見つかってしまいます。おまけに借りを作られ、いやいやながら寝場所を提供するはめに。特に仲がいいわけでも、頻繁に行き来していたわけでもない異母姉弟が狭い空間で一緒に過ごす……。前途多難なのは目に見えています。しかも、オリヴィアは薬物依存症でした。
 ニッコロ・アンマーティの同名の小説が原作。アンマーティは脚本のクレジットにも名を連ねています。原作は読んでいませんが、原書を読んだ人が書いたシノプシスを読んだので、どんな話なのかは知っていました。原作で残念だと思った部分が映画では描かれていないおかげで、14歳の男の子の冬の1週間だけが切り取られて、鮮明に輝いています。予告編を見たときは、主演の男の子の肌ばかりが印象に残ったのだけれど、映画全体を見ると、思春期を描くにはあの肌はなくてはならないものだったと思えてきます。
 原題は(映画も原作も)"Io e te(ぼくときみ)"。『孤独な天使たち』という邦題を聞いたときは何だか恥ずかしく思ったのだけれど、デヴィッド・ボウイの歌う挿入歌(「スペイス・オディティ」のイタリア語バージョン「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」)を聞いたら、これでいいような気がしました。
 それにしても、70歳を超えた監督が思春期の男の子をここまでリアルに描くとは。たぶん、学校という集団生活になじめない子は今も昔もいて、ベルトルッチ自身、集団で騒ぐよりはひとりで好きなことをするのを好むタイプだったはず。ところで、ベルトルッチは思っていたより10歳以上若くて、ちょっとびっくり。『ラスト・タンゴ・イン・パリ』は31歳のときの作品。『1900年』のときは35歳。本当に若くして世に出たのだなあ。
 この映画は、昨年亡くなった、ベルトッルッチの弟でやはり映画監督だったジュゼッペに捧げられています。プログラムのどこにも書いていないけれど、映画の冒頭に "a Giuseppe(ジュゼッペに捧ぐ)" とあったので。そもそも日本では、映画監督の弟がいたこともあまり知られていないのではないでしょうか。
 公式サイトはこちら

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