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2014年9月

宇野和美さん講演会「スペイン発、10代の文学」

 9月23日、教文館ナルニア国で開催された、宇野和美さんの講演会「スペイン発、10代の文学」を聴きに行きました。徳間書店児童書編集部創⽴20周年記念企画でもあります。宇野さんの訳書、徳間書店からは『アドリア海の奇跡』(ジョアン・マヌエル・ジズベル作/アルフォンソ・ルアーノ絵)、『イスカンダルと伝説の庭園』(ジョアン・マヌエル・ジズベルト作/アルベルト・ウルディアレス絵)、『ベラスケスの十字の謎』(エリアセル・カンシーノ作)の3作が刊行されていますが、『イスカンダル〜』は現在品切れだそうです。
 さて、日本で刊行されているスペイン語圏(スペイン、ラテンアメリカ)の児童文学はほとんど宇野さんが訳されているような印象を持っていました。7月に板橋区立美術館での講演会にも行って、ラテンアメリカは文学そのもの歴史が浅く、児童書の歴史はさらに浅いのだと知りました。ではスペインは? 
 内戦後、1975年まで続いて独裁政権下では表現の自由はなく、「教育的価値のあるものだけを出版すべき」とされ、ファンタジーやナンセンスは許されず、離婚した家族が出てくるものや、キリスト教的な考え方に反するものは出版が認められませんでした。この時代の作品で邦訳刊行れたものとして宇野さんが挙げてくださったのが、同名の映画でも知られる『汚れなき悪戯』(ホセ・マリア・サンチェス・シルバ作)と『きんいろ目のバッタ』(アナ・マリア・マトゥーテ作/浜田滋郎訳)。どちらも(特に前者は)教訓的な内容です。
 独裁政権終了後の1980年代は、日本の1950〜1960年代にも似た、これまでたまっていたものが一気に出てきた、熱気にあふれた時代となりました。代表的な作家はジョアン・マヌエル・ジズベルト、コンチャ・ロペス=ナルバエス(邦訳作品『約束の丘』フアン・ラモン・アロンソ絵/宇野和美訳/行路社)、ファン・ファリアス(同『日ざかり村に戦争がくる』宇野和美訳/福音館書店)、アントニオ・マルティネス=メンチェン(同『ティナの明日』宇野和美訳/あすなろ書房)。青春時代を独裁政権下で過ごした人たちで、ジュール・ヴェルヌ、アンデルセン等を読んで育ったそうです。ジズベルトは若いころ、アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルや、コロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケスを読んでいたとのこと。
 続く1990年代。絵本はコストがかかり、作れる人がいなかったため、物語が主流でした。この時代の代表的な作家はエリアエル・カンシーノ。日本では『ベラスケスと十字の謎』と『フォスターさんの郵便配達』(偕成社)が紹介されています(翻訳はいずれも宇野和美さん)。宇野さんは2006年にセビージャでカンシーノさんにお会いしていて、中学高校で哲学を教えていらっしゃっるせいか、辛抱強い、穏やかな方だとか。
 独裁政権後の作品を読んで育った作家が登場してきた2000年以降は、様相ががらりと変わったそうです。ハリー・ポッターが出てきたあたりから、書店に英米作品の翻訳ものが並ぶようになり、ファンタジーが流行。ここ4〜5年は英米でベストセラー、日本でも出版されているような本が、スペインでも出版されるようになったそうです。日本に紹介されている作品は、『漂泊の王の伝説』『この世のおわり』(いずれも、ラウラ・ガジェゴ・ガルシア作/松下直弘訳/偕成社)。IT化の影響で世の中の動きが速くなり、作家が急かされている印象があるとか。
 また、2000年代から絵本ブームが起こり、1〜2人で運営している小さな出版社が特徴的な本を出しているとか。英米の絵本も翻訳出版されるようになりました。
 宇野さんが調べたところによると、2000年以降、日本で出版されたスペインのYA作品は10作あるかないかで、英米の作品と比べると淋しい状況です。最近のYA作品は麻薬や犯罪がらみのものが多いので日本に紹介しにくく、また、エンタテインメント系作品は同じようなテーマの英米作品のほうが面白いと思ってしまう。そもそも、「作者がスペインの子どもたちのために書いている」作品であり、「日本の読者がスペインのことを知りたいかどうか?」と悩んでしまう。たとえば、第二次大戦時のユダヤ人や南北戦争時の黒人の話だったら、日本の子どもたちにも読ませようと思うけれど……。それでも、児童文学全体を食事にたとえると、スペインの児童文学はおかずの中のひとつの栄養素に過ぎないけれど、でもそれがあると全体が引き立つのだとおっしゃっているのが心に残っています。
 
★宇野和美さん訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ 資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/kuno.htm

「ムジカヴィータ・イタリア」最新号(第6号)

 イタリア音楽専門誌「ムジカヴィータ・イタリア 6号」が2014年8月27日に発売されました。全ページ、カラー! とても贅沢なつくりです。わたしは特集2:PFMの翻訳協力をしました。

★ムジカヴィータ・イタリア公式サイト
 http://musicavitaitalia.com/web/
 こちらから購入・定期購読の申し込みができます。

『黄泉の河にて』

 翻訳ミステリーシンジケート後援の西東京読書会スピンオフ企画【東江一紀さん追悼読書会】に参加しました。東江先生のお弟子さんだった翻訳家Nさんのお誘いを受け、東江先生の訳書はたぶん読んだことないうえに、最近のミステリには疎く、これ以上ないくらいのアウェー状態でしたが、ときには異種格闘技も必要だと感じ、思い切って申し込んだ次第です。ドキドキしながら会場に足を運びましたが、薄っぺらくて下世話な感想しか言えないわたしを温かく迎えていただき、ほっとしました。
 課題本はミステリーではなく『黄泉の河にて』(ピーター・マシーセン作/作品社)。これがもう、難解で……。読書会前日に何とか読み終わりましたが。
 東江先生主催の勉強会でこの作品の翻訳に取り組んだことのあるお弟子さんたちから、翻訳するときのせ姿勢をお聴きしました。

足し算も引き算もせず、原文どおりに訳す。
わかりにくい箇所はわかりにくいままにする。
読みやすくしようなどと考えないこと。

 今、某所で非常に難解な作品の翻訳に取り組んでいる身としては、非常に勉強になりました。
『黄泉の河にて』は後日改めて読み直してみようと思います。

生命の言葉——9月

 9月です。来月になったら来年の手帳を買わなきゃ。1年って本当に早いですね。神社にも行ってきました。来週にはお祭りがあるので、厳かかつ晴れやかな空気を感じました。お祭りの間にもう一度お参りしておこうかな。
 さて、今月の生命(いのち)の言葉です。

父母はわが家の神わが神と
心つくしていつけ人の子

 江戸時代後期の国学者、本居宣長の言葉です。「生命を与えてくださった父母に感謝し、神様のように心を尽くして大切にしなければならない」ということだそうですが。東京都神社庁のサイトはこちら
 おみくじは大吉!
あらたまの年の初めの大空に
さし昇る日を立ち仰ぐかな

「願望 心穏やかにお祈りを捧げれば喜び多く諸事叶う」「事業 全力を尽くせ 大成する」とあるのを真に受けて、頑張ろう。

 そういえば、ご朱印集めがなかなかはかどっていませんが、東京都神社庁のサイトを参考に、近場から地道に攻めていこうと思います。それにしても、八幡神社と氷川神社の多いこと!

8月に見た映画

わたしが見る映画は、なぜか鑑賞メーターで検索しても出てこないことがほとんど。これ以外にも、『なまいきチョルベンと水夫さん』『グッバイ、ファースト・ラブ』『グレート・ビューティー/追憶のローマ』を見ました。
『グレート・ビューティー〜』は今年のアカデミー賞外国語映画賞受賞作。イタリア映画祭で一度見ていますが、エンディングが見たくて、見に行きました。見るたびにローマが恋しくなります。

8月の鑑賞メーター
観たビデオの数:5本
観た鑑賞時間:653分

愛の勝利を  ムッソリーニを愛した女 [DVD]愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 [DVD]
マルコ・ベロッキオはやっぱり得意でないかもしれない……。イタリア現代史をもっと勉強せねば!という決意を固めるきっかけにはなった。
鑑賞日:08月15日 監督:マルコ・ベロッキオ
Blue Is the Warmest Color [Blu-ray] [Import]Blue Is the Warmest Color [Blu-ray] [Import]
鑑賞日:08月14日 監督:Abdellatif Kechiche
いまを生きる [DVD]いまを生きる [DVD]
マーロン・ブランドやジョン・ウェインの真似をするロビン・ウィリアムズが見たくて借りてきた。秋から冬にかけての景色が美しい。
鑑賞日:08月12日 監督:ピーター・ウィアー
オズの魔法使 特別版 [DVD]オズの魔法使 特別版 [DVD]
新・午前十時の映画祭にて鑑賞。大昔にテレビで見たときと少し印象がちがったけれど、よくできているなあと思う。1930年代製作とは思えない。
鑑賞日:08月12日 監督:ビクター・フレミング
恋するローマ、元カレ元カノ [DVD]恋するローマ、元カレ元カノ [DVD]
バカップルだらけだった。ラブストーリーというよりは、コメディだな。
鑑賞日:08月06日 監督:ファウスト・ブリッツィ

鑑賞メーター

8月に読んだ本

読んだ本の数は先月より6冊増えましたが、たぶん絵本が増えただけです。
『母さんが消えた夏』はこちらにミニレビューを書きました。

2014年8月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:3401ページ
ナイス数:55ナイス

えほんとさんぽ―さがしに行こう!絵本・雑貨・カフェえほんとさんぽ―さがしに行こう!絵本・雑貨・カフェ感想
月刊MOE2004年1月号〜2005年5月号の連載を元に2006年3月に刊行されたものなので、すでに閉店してしまったお店もいくつかある。ペンギンハウスも三月の羊もひなぎくも今はない。それはともかく、「絵本ができるまで」は興味深かった。
読了日:8月27日 著者:杉浦さやか
TOKYOブックカフェ紀行 (TOKYO INTELLIGENT TRIP 04)TOKYOブックカフェ紀行 (TOKYO INTELLIGENT TRIP 04)感想
ブックカフェといっても、書店や図書館に併設されたカフェから、本が置いてある(閲覧のみで販売はしていない)カフェまで、形態はいろいろ。行ったことがあるのはEhon Houseだけだった。吉祥寺の1軒をのぞいて、23区にある店ばかり。
読了日:8月26日 著者:
青のない国青のない国
読了日:8月25日 著者:風木一人,長友啓典,松昭教
パワースポットガイド東京パワースポットガイド東京感想
信じれば何でもパワースポット? 東大は「学問の神様が宿る場所」だそうだけれど、本郷キャンパスだけなのかな。
読了日:8月24日 著者:暁玲華
ジェドおじさんはとこやさんジェドおじさんはとこやさん感想
見返しがきれい!と思ったら、部屋の壁紙と同じだった。見開き2ページがそれぞれひとつの絵として完成している。壁紙や家具など、細かいところの描き方がよかった。動物たちも。
読了日:8月24日 著者:マーガリーキング・ミッチェル
ヨナタンは名たんていヨナタンは名たんてい感想
とぼけた絵柄。犬のビバがかわいい。
読了日:8月24日 著者:デイヴィッドグロスマン
きのう何食べた?(9) (モーニング KC)きのう何食べた?(9) (モーニング KC)感想
ラタトゥイユを食べたくなったけれど、気温を考えると煮込み料理はやめたほうがよさそうだ。小日向さんちの食材が豪華でうらやましかった。
読了日:8月22日 著者:よしながふみ
([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)感想
主人公は文芸書籍の編集者。本にしたい原稿に出会い、社内のあれこれを乗り越えて出版にこぎつけるまで……ではなく、その先まで描かれている。
読了日:8月21日 著者:大崎梢
はじまりのとき (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)はじまりのとき (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)感想
ヴェトナム戦争中の生活、そしてサイゴン陥落で難民となりアメリカに渡ってからの生活が、10歳の少女ハの視点で詩の形で描かれている。簡潔なスタイルだからこそ、心情が痛いほど伝わる。
読了日:8月18日 著者:タィン=ハ・ライ
知の編集術 (講談社現代新書)知の編集術 (講談社現代新書)
読了日:8月17日 著者:松岡正剛
街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。感想
恵文社一乗寺店のことだけでなく、京都市左京区の個人経営の小さな店についても書かれていて、個人商店がこの先も生き残っていくにはどのようにすればいいのか、ヒントを与えてくれる。「大型書店が存在しないことには、小さな街の本屋もなりたたない」という話が興味深かった。
読了日:8月16日 著者:堀部篤史
魔法ねこベルベット〈1〉学校へようこそ!魔法ねこベルベット〈1〉学校へようこそ!感想
猫があくまでも猫なのがいい。
読了日:8月14日 著者:タビサブラック
もじゃもじゃヒュー・シャンプーもじゃもじゃヒュー・シャンプー
読了日:8月14日 著者:カレンジョージ
びじゅつかんへいこうびじゅつかんへいこう
読了日:8月14日 著者:スーザンベルデ
ひめねずみとガラスのストーブひめねずみとガラスのストーブ感想
ブラティスラヴァ世界絵本原画展で見た原画がよかったので、読んでみました。美しくてせつない話。
読了日:8月12日 著者:安房直子
サマセット四姉妹の大冒険サマセット四姉妹の大冒険感想
古き良き(でも女性にとっては受難の)時代を舞台にした上流階級のお嬢様たちの冒険譚と、現代のニューヨークに住む、やはり上流階級の少女の成長物語が同時進行。お金に不自由しない(かつ、親の強力なバックアップがあるので何かと安心な)海外長期滞在を羨ましく思いつつ、これでいいのかと疑問に感じた。
読了日:8月10日 著者:レズリー・M・M・ブルーム
フルサトをつくる: 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方フルサトをつくる: 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方感想
老害について伊藤氏が書いた箇所は、一読の価値があります!
読了日:8月9日 著者:伊藤洋志,pha
母さんが消えた夏 (文学の扉)母さんが消えた夏 (文学の扉)感想
ありがちな状況で始まったけれど、よくある展開にはならなかった。小学校高学年の兄/姉と、未就学児の弟/妹の話は、上の子の立場で読むと切ない。
読了日:8月5日 著者:キャロライン・アダーソン
なぞの少年なぞの少年感想
クロアチアの児童書。中学校で学校対抗射撃大会があるのには驚いた。シリーズ3作目まで邦訳が出ているけれど、続きを読むかどうかは保留。
読了日:8月5日 著者:イワンクーシャン
ブックカフェさんぽ―東京/大阪/京都本と親しむ心地よき休息スペース (Grafis Mook)ブックカフェさんぽ―東京/大阪/京都本と親しむ心地よき休息スペース (Grafis Mook)感想
行ったことのある店もちらほら。ティールグリーンとうみべのえほんやツバメ号には、絶対行く!
読了日:8月3日 著者:
昔日の客昔日の客感想
本は単なるモノ(消耗品)ではない。作り手の魂がこもっている。関口さんのそんな思いに共感しました。本好きな人が好きになる本ですね。
読了日:8月1日 著者:関口良雄

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